『FF-TCG』描き下ろしイラストレーターインタビュー
第7回:泉沢康久
世界中で遊ばれているアナログTCG、『ファイナルファンタジートレーディングカードゲーム(FF-TCG)』には、ファイナルファンタジーシリーズからたくさんのキャラクターやモンスターが登場しています。懐かしいイラストがカードになって登場している一方で、実は、『FF-TCG』のために描き下ろされたオリジナルのイラストが多数収録されています!
本特集では、収録されているイラストをイラストレーターへのインタビューを織り交ぜながらご紹介します。さらに、イラストの一部を壁紙としてFFポータルアプリにて配信いたします!
『FF-TCG』向けに『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル エコーズ・オブ・タイム』の描き下ろしを担当されている泉沢康久氏に、今回の描き下ろしについてお話を伺いました。
泉沢康久プロフィール:
FFシリーズでは『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル エコーズ・オブ・タイム』や『小さな王様と約束の国 ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル』、『光と闇の姫君と世界征服の塔 ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル』にてメインキャラクターデザインを担当。『ワールド オブ ファイナルファンタジー』ではアートディレクターを務め、そのほか『ゼノギアス』や『サガ フロンティア2』にも携わる。
―まず泉沢さんご自身のことについて、伺っていけたらと思います。これまでのお仕事について教えていただけますでしょうか。
泉沢:もう20年以上も前の話になりますが、当時のスクウェアでの最初の仕事は『ゼノギアス』で、ドットを打っていました。その後『サガ フロンティア2』でモデリングやモンスターのデザインなどの経験を経て、『ファイナルファンタジーIX』では武器などのガジェットのデザイン、『ファイナルファンタジーX』ではモンスターデザインやテクスチャを担当していました。本格的にキャラクターデザインを始めたのはファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル(以下、FFCC)シリーズで、『小さな王様と約束の国FFCC』では初めて、メインキャラクターのデザインを担当させていただきました。
―その後『FFCCエコーズ・オブ・タイム』のキャラクターデザインも担当されていますが、今回、まさにそのキャラを描き下ろしされたわけですね。制作当時はどのようにデザインを進めていたのでしょうか。
泉沢:各キャラクターの設定は最初から割とがっつり決まっていて、それをもとにデザインを進める形でした。当時のディレクターがチェックはしますが、基本的にデザイナーの好きにやれるような環境で、ほぼ修正もなくOKが出ていた記憶があります。キャラクターだけでなく、ロゴに入っているクリスタルと黒猫のイラストも私が担当しています。
アンデットセレブは自分がこれまで描いた中でもお気に入りのキャラクターで、『ワールド オブ ファイナルファンタジー(以降、WOFF)』でもディレクターにお願いして、復活してもらったくらいです。当初は単なるボスキャラで、そこまで目立つキャラではなかったのですが、デザインを見たシナリオ担当がノリで追加セリフを書いたりして、セリフありのキャラに昇格したんです。開発内での評判も良かったですね。『WOFF』で復活したときはコンソールのスペックも上がって表現できることが増えたので、お墓にハートを足すなどのディテールを追加しています。今回の『FF-TCG』向けの描き下ろしについてはさらに1枚のイラストということで、ヒビ割れや汚れなどのさらなるディテールを追加して描いています。
シェルロッタは、プレイした方ならわかると思うのですが、見た目は幼い女の子なのに実は2000年近く生きているという、中身とのギャップがあるキャラクターなので、それをデザインにも反映したいと思っていました。チャームポイントの大きなリボンと尻尾は、発注時のオーダーに書いてありました。ニンテンドーDS用のソフトだったので、ゲーム画面で映えるように大きいパーツをデザインに入れていくことは意識していました。
ベリアウルデ、ウァルトリール、ノルシュターレンの3人は、それぞれキャラ設定が濃くて気に入っています。今回の彼らの描き下ろしイラストは、実は私のアシスタントである齋藤茜さんが仕上げてくれました。ゲーム内のシーンをイメージして描いているのですが、例えばノルシュターレンはシナリオ中にある、歌を歌いながら石を積んでいるシーンを描いています。ノルシュターレンとその師匠であるウァルトリールのイラストは、本を挟んで繋がるようになっていて、お気に入りです。
―泉沢さんといえば『FFCCエコーズ・オブ・タイム』『WOFF』のような可愛らしいデザインのイメージがありますが、やはり得意とするところなのでしょうか。
泉沢:自分としては『FFX』でリアル系のモンスターデザインもやったりと、割とどんなスタイルでも描けるのですが、FFCCシリーズで名前が売れたこともあり、以降はそういったテイストでの依頼が多くなりましたね(笑)。
―『FF-TCG』の描き下ろしならではだったことはありましたか?
泉沢:普段はゲームのデザイン(設定画)ということで、ラフ状態で仕上げることが多いのに対し、今回はそのままカード絵になるということで1枚のイラストとして仕上げたことでしょうか。その分時間もかかったのを覚えています。
―TCG自体には、なじみはあったのでしょうか?
泉沢:『FF-TCG』自体は未プレイですが、昔『マジック:ザ・ギャザリング』にはまっていた時期がありました。相当お金を掛けて、それこそ徹夜でやり続ける程度にはやり込んでいましたね(笑)。今はもうTCGはやっていなくて、もっぱら海外のアナログゲームで遊んだり、『WARHAMMER 』というミニチュアゲームの駒を塗ったりして遊んでいます。
―今後、描き下ろしをしてみたいキャラクターはいますか?
泉沢:『小さな王様と約束の国FFCC』のキャラは描きたいですね!初めてメインキャラのデザインを担当したタイトルなので。中でもチャイムやヒュー=ユルグあたりはぜひ。あとは『WOFF』だとクイーンアチョ、ゴブリンプリンセスがお気に入りキャラですね。クイーンアチョは、「アチョ」というミラージュの女王なのですが、この「アチョ」のデザインは『小さな王様と約束の国FFCC』に出てくる「パブロフ」を割とそのまま持ってきています。
こういったところで『WOFF』にはFFCCシリーズの血が混ざっているので、FFCCが好きだった方は、ぜひ『WOFF』も遊んでみていただけたらなと思います。
▲『小さな王様と約束の国FFCC』のパブロフ(左)、『WOFF』のアチョ(右)
自分がデザインした以外では、『ファイナルファンタジーVI』のリルムを描いてみたいですね。見た目とは裏腹に毒があって、個人的に好きなキャラです。
―今後も描き下ろしイラストがあると伺っておりますので、楽しみにしています!本日はありがとうございました。
▼バックナンバー
第1回:松田俊孝
第2回:伊藤龍馬
第3回:板鼻利幸
第4回:ロベルト・フェラーリ
第5回:小池紅美子
第6回:オグロアキラ
泉沢康久氏描き下ろしの「シェルロッタ」が壁紙になりました!
■デジタルコンテンツ(壁紙)
- アイテム名 : 描き下ろしイラスト『シェルロッタ』壁紙
- 交換条件 : (有効期限内)何度でも
ファイナルファンタジーシリーズに登場するキャラクターや召喚獣を駆使して、1対1で対戦するカードゲーム。お馴染みのキャラクターのカードを集めるコレクションとしての要素だけでなく、ルールはシンプルながら奥の深いゲーム性による、カードゲームとしての面白さが最大の魅力。
公式イラストレーターによる描き下ろしイラストも大好評!