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『FINAL FANTASY VII REMAKE Traces of Two Pasts』野島一成スペシャルインタビュー!

小説『FINAL FANTASY VII REMAKE Traces of Two Pasts』の著者、野島一成さんに今回の小説についてお話を伺いました!
『FFVII』の小説としては『On the Way to a Smile ファイナルファンタジーVII』、『ファイナルファンタジーVII外伝 タークス~ザ・キッズ・アー・オールライト~』に続き3冊目となる今作に込められた思いとは…。

野島 一成 Kazushige Nojima

1964年1月生まれ。札幌市出身。水瓶座。ゲームシナリオを中心に幅広く活躍するストーリーテラー、ゲームクリエーター。代表作は『ファイナルファンタジーVII』『ファイナルファンタジーVII ADVENT CHILDREN』『CRISIS CORE -ファイナルファンタジーVII-』『ファイナルファンタジーX』『ファイナルファンタジーX-2』『キングダムハーツ』『キングダムハーツII』(すべてメインシナリオ)etc. 著書に『On the Way to a Smile ファイナルファンタジーVII』『ファイナルファンタジーVII 外伝 タークス ~ザ・キッズ・アー・オールライト~』etc. プライベートではヘビーメタルをこよなく愛する。エレキギターを沢山持っているがうまく弾けない。

『FFVII』の小説としては、『ファイナルファンタジーVII外伝 タークス~ザ・キッズ・アー・オールライト~』が2011年執筆ですから、10年が経ったことになります。まず本書『FINAL FANTASY VII REMAKE Traces of Two Pasts』の執筆をお引き受けくださった理由と言いますか、小説執筆に戻ってきた動機みたいなものをお聞かせください。

野島:定期的にオファーをいただいていたのでいつか書かねばという気持ちはありました。そんな中で、執筆できそうな時間が見つかったので重い腰を上げたという次第です。

まず本書の内容についてお聞かせください。『FFVII リメイク』の始まる前、ティファとエアリスの幼年期から少女時代までの二つの物語、「ティファの軌跡」と「エアリスの軌跡」で構成されています。全体の構成の輪郭ができあがったのはいつ頃でしょうか?

野島:記録によると2020年の夏にはあらすじがあったようです。読むと、完成形とはかなり違います。

『FFVII リメイク』の前日譚的役割以外に重要な点があれば教えて下さい。

野島:ご存知のように『FFVII』には多くの派生作品があり、その都度、設定やエピソードが追加されています。『FFVII リメイク』ではそれらを一度整理、再構成しているのですが、この小説はその設定を下敷きに執筆しています。

ティファ、エアリス以外にも彼女たちを取り巻く『FFVII』のキャラクターは登場するのでしょうか?

野島:はい。彼女達の子供時代から思春期くらいまでの人生に影響を与えたキャラクターが登場します。

『FFVII』や『FFVII リメイク』本編では謎に包まれていた部分が明らかになっていたりするのでしょうか?

野島:謎の解明まではいかないですが、ゲームでは語られない空白の時間を補完する内容になっています。

どちらの物語も悲しい境遇なのに強く生きている主人公像が描かれています。工夫されたことなどあれば教えて下さい。

野島:それぞれの悲しみの乗り越え方から考えました。エアリスは悲しくはないと信じること、明るく振る舞うことで新しい環境に馴染もうとします。ティファは身体を動かすことで過去を振り返る時間を削り、日々を乗り越えます。工夫というものではないのですが、とにかく、話がブレないように注意しました。伝えたい設定や背景が多すぎて、そっちが主役みたいになってしまうことがよくあります。はい。

今作は「ティファの軌跡」、「エアリスの軌跡」がそれぞれ描かれていますが、その内容についてお聞かせください。
まずは「ティファの軌跡」についてお願いします。

野島:「幼なじみではあるがさほど親しかったわけではない」──ティファとクラウドの関係をきちんと語ること、ザンガンとの交流、悲劇のあとミッドガルへ行くことになった経緯、身寄りのない15歳の少女がスラムでどのように暮らしたのか。これらを描くことが課題でした。なかなか面白くなったと自負しています。

続けて「エアリスの軌跡」についてお願いします。

野島:『FFVII』、『FFVII リメイク』でもエアリスの家はスラムの中で特別な場所として描かれています。咲き乱れる花だけではなく、その敷地の広さ、しっかりした造りが目に付きます。全体として貧しいスラムにおいて、ゲインズブール家はとても裕福に見えます。この状況に物語を与えたいと思い、それがプロットの発端になりました。

「エアリスの軌跡」についてはCoda「絵画の中の調査隊」という章もありますね、そちらについてはいかがでしょうか?

野島:『FFVII リメイク』で、エアリスが幼少期を過ごした神羅ビルの一室が登場します。その部屋の壁には大きな絵が描かれています。あの絵も物語を求めているように見えました。それがスタートでした。

物語を作る上で以前とは変わったなと思うところ(シナリオ、小説問わず)があればお伺いできればと思います。

野島:チャレンジ精神が旺盛になりました。作品内で色々やってやろうという気持ちが強くなったと言いますか。歳を取ったぶん、持ち時間が少なくなって焦っているだけかもしれません(笑)。

以前に野島さんは物語を語る時、小説という表現方法は自由でなんでもアリだけれど書くのは難しいとおっしゃっていましたが、今もそれは変わりませんか?
あるいは技術的に進歩したなと手応えを感じる点などあれば教えてください。


野島:子供の頃から小説は好きでよく読んでいたのですが、そのぶん理想が高くなってしまって。いざ自分で書くとなるとその高みにまったく手が届かず、長いあいだ小説の執筆は苦行のようなものでした。その苦しさが今はないですね。己を知ったということかもしれませんね。

ゲームシナリオと小説あるいはそれ以外の表現方法(映像作品、舞台etc)で物語を語る事の違いについて現在感じていることがあれば教えてください。

野島:ゲーム、映像作品、舞台などのシナリオは設計図だと思います。でも小説はそれ自体がすべてなので他の人の力をあてにできないという、そこが大きく違いますよね。また、読者の方々の知識の範囲、たとえば『FFVII』の世界についてどれくらいご存知かなどはまちまちだから、何を書いて何を書かないのか、これは毎回悩みます。背景にある設定にページを割きすぎて話が全然進まないとか(笑)。

以前にクリエーター野島一成のルーツ、あるいはバックグラウンドを語っていただいたことがありますが、本書執筆に戻ってくるまでの間、影響を受けた作品などありますでしょうか?小説以外でも結構です。

野島:フェルディナント・フォン・シーラッハ(※)という作家さんにハマりました。キリキリとした文章が気持ち良くて。もちろん翻訳で読んでいるので、その訳文のようにできないかと挑んだのが「絵画の中の調査隊」です。他の2編も同じスタイルで書いたつもりですが出来上がってみると結構ちがいますね(笑)。
あとは映画などのストリーミングサービスのおかげで映像作品を見る機会が格段に増えましたね。本作も、『On the Way to a Smile』のデンゼルのエピソードのように映像化の話もあるかもしれないと考えて、シーンが活き活きとするように気をつけています。

小説は今後何か執筆する予定はありますでしょうか?

野島:脱稿までの苦労がまだ生々しく残っているので小説はそれを忘れた頃でしょうか(笑)

「ユフィの軌跡」他まだ残っているものがあるかと思いますが、いかがでしょう?

野島:ユフィ以外はおじさんばかりになりそうな……大丈夫でしょうか? ヴィンセントは面白いかもしれませんね。

最後に『ファイナルファンタジーVII』シリーズファンの皆様にひとことお願いいたします。

野島:1997年以来、長く本作を愛してくださってありがとうございます。また『FFVII リメイク』が初めてだという方も多いと思います。シリーズはこれからも続きますのでどうぞよろしくお願いいたします。「次」が待ちきれない皆様にこの『FINAL FANTASY VII REMAKE Traces of Two Pasts』を楽しんで頂ければ最高です。

※フェルディナント・フォン・シーラッハ:1964年生まれ。ドイツの小説家、刑事事件弁護士。弁護士としての経験をもとに物語集『犯罪』を2009年刊行、ベストセラーに。

FINAL FANTASY VII REMAKE Traces of Two Pasts

聞きたいって言った人、いなかったし、話したいと思う相手もいなかっただけ。ね? 聞く? 聞く?

『ファイナルファンタジーVII』の世界を彩るふたりのヒロイン、エアリスとティファの知られざるそれぞれの軌跡

著者:野島一成

FINAL FANTASY VII REMAKE Traces of Two Pasts
e-STORE販売価格:1,650円(税込)
2021年7月15日発売
サイズ:四六判 408ページ

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e-STORE販売価格:33,000円(税込)
2021年7月15日発売
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素材:額縁本体:木製 額縁窓:アクリル製

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